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センサ情報を活用したサイバーフィジカルシステム

概要

サイバーフィジカルシステム(CPS)とは,実世界(フィジカル)とIT(サイバー)空間のコンピューティング能力を組み合わせることで,社会にとって有益となるシステムを構築しようとする試みです. センシング技術,センサネットワークの発達に伴い,サイバー空間内に実世界のデジタルデータの大量に取り込まれるようになりました. 実世界とIT空間を如何に結合させ,社会にどのように貢献していくのか?その目標達成に向けた社会システムの構築が盛んに行われています. 九州大学ではCPSテストヘッドとして,ICカードやカメラ監視システムを用いて,図1に示すような大学内のエコ推進や複雑なステークフォルダーへの参加を目指しています.

詳細

センサネットワークから取得された実世界の人々や環境に関する膨大な情報がIT技術を用いて分析・融合されています. それらの情報を直接的あるいは政策や経営などの手段を用いて実世界へフィードバックすることをサイバーフィジカルシステム(CPS)と呼びます. CPSではIT環境を用いて社会の効率化,安全安心,省エネルギー化,CO2削減などを図る社会システムの構築を目指しています. 九州大学ではエコ推進活動や複雑なステークフォルダへの参加を目指して大規模なCPSプロジェクトが計画されています.

九州大学版CPSプロジェクトでは,小型無線基地局(MIMO-Mesh)や監視用カメラセンサから得られる実世界データだけでなく,ICカードから得られる個人の行動履歴も利用します. ICカード(キャンパスの入場ゲート・図書館・購買部での商品購入)の利用で得られる個人の行動履歴は,システムの全貌をよりミクロな進展から解析することのできる強力な要素であると言えます. 個人情報を積極的に利用することにより,システム全体を最適化するだけではなく,個人適応型サービスへの展開・拡張が見込まれます.

我々は,複数のカメラを分散配置したセンサネットワークから取得された映像データを用いて,人流や交通流の解析を行っています. 図2のように各カメラセンサの撮影領域内を移動する物体の移動特徴を抽出し,撮影領域間を統合することで,広域での移動物体の流れをモデル化することが可能となります. 個々のカメラセンサによる撮影領域内,あるいはカメラセンサ間を横断的に通過する人や車などの物体の定常的な移動経路を移動モデルとして検出できれば,大学内の駐車場やバス停付近の混雑状況の解消に利用することができると考えています. また,流動量の増減に応じて夜間の照明時間を制御するなどして,カメラセンサから取得される実世界データを基づくエコを実現することが可能であると考えています.

現在,我々は,九州大学版CPSプロジェクトの一端として,伊都キャンパス2号館10階の通路に10数台のカメラセンサを設置し,歩行者の人流解析を試験的に行っています. 今後,この解析の有効性を示せた場合,実証フィールドをキャンパス内から地域一帯へと拡大する予定です.

発表文献

国際会議 (査読有)

  1. Atsushi Shimada, Shigeru Takano, Shigeaki Tagashira, Rin-ichiro Taniguchi, Hiroto Yasuura
    Estimation of Electric Power Consumption of Individuals by Observing People's Activity
    International Conference on Cyber-Physical Systems, CD-ROM Proc. of the Third International Conference on Cyber-Physical Systems (ICCPS 2012), 2012.04
    (Keyword: cps)
    BibTeX
  2. Sumihiro Ohno, Atsushi Shimada, Hajime Nagahara, Rin-ichiro Taniguchi
    Optical Flow based Activity Correlation Analysis in Multiple Non-overlapping Camera Views
    CD-ROM Proc. of the 7th Joint Workshop on Machine Perception and Robotics, 2011.10
    (Keyword: cps)
    BibTeX